タイトルの意味するところは、「国立大学と私立大学ではどちらがいいか?」ということではありません。もしそうであれば、接続詞は &(and) ではなく or を使うはずです。今回は、現在、とある国立大学と私立大学に非常勤講師として勤めている筆者の両者に対する率直な感想をお伝えしようと思っています。4月までは自宅からオンラインで授業を行っていましたが、5月の連休以降は実際に通い始めました。そこで感じたことを記します。
まずは国立のS大学です。S大は筆者の母校でもあります。その母校で後輩にあたる学生を指導できるわけですから、とてもやりがいがあります。以前にも5年間(正確には5年目の後期は病気で辞退したので4年半)非常勤講師として常勤職との兼任で教えていました。そのときの“貯金”があるので、授業の準備は比較的楽です。
筆者が教えている教育学部棟は、自分が学生のときと同じ建物です。耐震工事などが施されて若干外見がきれいになっていますが、基本的な作りは以前のままです。ただ、内部はリニューアルされてとてもきれいになっています。教室はもちろんのこと、トイレもホテルなみにきれいです。自分が学生のときは掃除がほとんどされていなくて教室がゴミためのような状態でしたが、今は業者がきちんと掃除しているので、とてもきれいになっています。
ただ、他の国立大学同様に人件費削減のせいで、事務職員が極端に少なくなっています。S大学では数年前に全ての学部の事務室を1カ所に集めてしまったため、各学部には最低限の事務職員しかいません。ちなみに、教育学部の事務室には一人しか常駐していません。何か相談事がある場合はその人しか頼る人がいないわけです。
次に私立のK大学です。K大は今年から初めて通っています。25年以上お世話になっている先生からの紹介で仕事をさせてもらっており、その恩に報いるためにも一生懸命学生に教えています。並行して小学校の先生方を対象とした免許状認定講習も受け持っているので、小学校の先生方も“学生”として教えています。3種類、計4コマの授業を持っていますが、いずれも初めて教えるので、各授業の準備がとても大変です。中には1回きりの授業のために10時間以上かけて準備したこともありました。
筆者が教えている外国語学部は、昨年新たに作られたキャンパスにあります。当然、すべての施設が新しく、設備も私立大学らしく最新式のものが常設されています。校舎は新しく開発されたオフィス街にあり、周辺には有名な会社のオフィス・ビルが立ち並んでいます。K大の校舎も21階建てという高層ビルで、最上階に学食もあります。ただ、校舎がほぼ真四角で、いわゆる学校の校舎のように全体を見通せる廊下がないため、校舎内が迷路のようになっていて、どこに何があるのかを探すのが大変です。
国立大学との比較で一番驚くのが事務職員の多さです。中央の事務室にも大勢の事務職員がいて丁寧に対応してくれますが、各講師控室や資料室まで事務職員が駐在しているので、たいていのことは相談すれば解決できます。特に、筆者のように初めての人間にはわからないことが多いので、大変助かっています。また、教室がある2~7階には図書スペースや学習スペースがいたるところにあり、学生にとっては気軽に勉強できる場所として使い勝手がよさそうです。
それぞれの大学に個性があり、いずれのキャンパスも大好きです。このような場所で仕事ができるのはとても幸せだと思いながら通っています。なお、もう1つの私立のW大学は夏季集中講座なので、そのときに通い始めたらまた報告します。(5/14/2022)