つい先日、勤務先からの帰り道で、最寄り駅から自宅までのたった200mを歩くのがとてもつらいということがありました。翌日も、駅までの道のりで両脚が痛くなり、職場の最寄り駅の長い階段がとてもつらく、さらに職場の直前にある200mほどのダラダラ坂では3回も途中で休まなければならない事態が起こりました。もちろん、その日の帰宅時もとても苦労しました。
たまたまその日はいつも通っている内科のS先生に薬をもらいに行く日であったので相談してみると、「間欠性跛行」という症状で、おそらく腰椎脊柱管狭窄症を患っている可能性があるとのことでした。さすがに内科の先生ではそれ以上のことはわからなかったので、後日他の総合病院の総合診療科を受診しました。いきなり整形外科に行かなかったのは、自分の場合はその症状に対して他に複数の原因が考えられたからです。
総合診療科のT先生は、見た目はなんだか少しみすぼらしい感じのする人でしたが(失敬!)、話してみるとさすが総合診療科の先生という感じの先生でした。こちらの話を十分に聞き、触診できることは可能なかぎり行い、その上でT先生の詳しい所見を話してくれました。T先生のその様は、以前にNHKで放送されていた「ドクターG」に出演していた先生のようでした。ここで言う「G」とは general のことで、「一般的な」という意味の語です。医療界では、患者の訴える症状から何科にかかったらいいか、あるいはその場でどのような処置を行うのが最適かを判断する医師のことを指すようです。
T先生の患者対応に接している間に、それが教師として生徒にどのように接したらいいかということの勉強になると思いました。
具体的に言うと、先述したようにまずはしっかりと相手の話を聞くことです。途中で話をさえぎったりはしません。話を聞いているときは、うなずいたりして相手の言っていることを受け入れている姿勢を見せます。話を十分に聞いた後は、相手が持ってきたデータや物証があればそれをしっかり見た上で、教師としてできること(この場合は疑問点の事情聴取など)を入念に行います。それらをすべて行った上で教師としての見解を相手に伝えるということですね。決して結論を急いだり、ましてや偏見をもって相手に接したりしてはなりません。
筆者としては自分の病状を知りたくて総合診療科を受診していたわけですが、途中からはT先生の対応が教師としてもとても役に立つのではないかと考え始め、それが気になって肝心の診察結果の内容が頭に入ってこないという本末転倒の事態になってしまいました。本当に教師としての自分にとても参考になるT先生の対応でした。(3/12/2022)