ませガキが選んだ60年代アメリカTV(その2)

前回の「ませガキが選んだ60年代アメリカTV(その1)」は、今となっては筆者が最も好きなドラマである『スター・トレック』シリーズ(これをアメリカでは「フランチャイズ」(franchise)と呼びます)の初期作品である『宇宙大作戦』(Star Trek)をご紹介しました。今回はその第2弾(第4位)です。

 

第4位『FBI アメリカ連邦警察』(The FBI1965-74

 

みなさんは「FBI」というアメリカの組織をご存じでしょうか。アメリカのアクション物や犯罪物のテレビドラマや映画などを見ているとよく出てくるので、それが何かを知らない人でも名前くらいは聞いたことがあると思います。FBI とは Federal Bureau of Investigation の頭文字をとったもので、「連邦捜査局」と訳されています。アメリカでは警察は基本的に州が管理しており(日本の都道府県警察と似ていますね)、州を越えた捜査はあまりしません。しかし、凶悪犯罪はよく州をまたいで行われることが多いので、そうした重大犯罪を扱う組織として FBI が設立されました。

 

その FBI の活躍をドラマにしたのが The FBI で、日本では『FBI アメリカ連邦警察』というタイトルで放送されました。本国では1965年から1974年まで9シーズン、計240話も続いた人気ドラマでした。日本でもTBS系でほぼ半年遅れで全話が放送されました。また、1976年から日本テレビ系で土曜日の夕方に再放送されていました。なお、2018年から FBI(邦題『FBI:特別捜査班』)というドラマが新たに始まり、2020年にはそのスピンオフ作品である FBI: Most Wanted(邦題『FBI:指名手配特捜班』)が始まっており、これらもとても面白いドラマですが、今回紹介するのはずっと古いドラマの方です。

 

主役のアースキン捜査官をエフレム・ジンバリスト・ジュニア(Efrem Zimbalist, Jr.)が、ウォード部長をフィリップ・アボット(Philip Abbott)が演じ、毎回難事件を解決していくという典型的な“刑事物”番組でした。実を言うと、話の内容は1つも覚えておらず、アースキン捜査官が格好良かったなあというくらいしか覚えていません。ただ、ずっと強い記憶に残っていた作品であったことは確かだったので、1983年から84年にかけてアメリカに留学中にワシントンD.C.を訪れたときは、迷わずに FBI本部の見学にも行きました。そこでは1930年代にマフィアとの抗争に使われたトンプソン・サブマシンガンの連射ショーもあって、度肝を抜かれたのを覚えています。

 

オープニングのやや長めの前奏の後に流れる冒頭のナレーションの英語は、今でもはっきり再生できます。子供の頃のことなので音声だけで文字は一切頭に浮かんでこないのですが、その記憶を書き起こしてみると…

 

ディ エフ・ビー・アイ

クオン・マーティン アン ワーナーブラザーズ プロダクション

スターリン エフレム・ジンバリスト・ジュニア

オールソー・スターリン フィリップ・アボット、…

ウィズ・ゲスター...

トゥナイツ・エピソード…

 

上記を英語表記すると、

 

The F.B.I

A Quinn Martin and Warner Bros. production

Starring, Efrem Zimbalist, Jr.

Also starring, Philip Abbott, …

With gest stars, ....

Tonight's episode, ....

 

であることがわかったのはだいぶ後のことでした(汗)。でも、何度も何度も聴いて、それを正確に真似するように言っているうちに、多少の語抜けや勘違いがあったものの、ほぼ原文に近い音声が再生できていたのには自分でも驚きました(笑)。

 

今回紹介するのは、YouTubeに上がっているオリジナルのシーズン2のオープニングとエンディングです。上記の英語の2行目の表現には、シーズンによって他に "A Q.M. production", "A Quinn Martin production" など、Warner Bros.(=Brothers) の入っていないものもあるようです。また、ビデオの冒頭の The Ford Motor Company presents というナレーションは当然ながら日本版には入っていません。オリジナル版でもシーズン3以降のバージョンには入っていないようです。 

 

なお、今回のオープニングにはゲストスターとして70年代のテレビや映画で大活躍したテリー・サバラス(Telly Savalas, 『コンバット!』『特攻大作戦』『女王陛下の007』等で重要な脇役、『刑事コジャック』(1973-90)で主演)とロバート・デュバル(Robert Duvall,『ゴッドファーザー』『ネットワーク』『地獄の黙示録』等で重要な脇役、『テンダー・マーシー』でアカデミー主演男優賞)という大物が登場しているのに驚きました。