マジック e(音を変身させる魔法の文字)

「これでつづりが読めるようになる!」シリーズの第2弾は、「マジック e(音を変身させる魔法の文字)」です。なんだかいきなり狐につままれた(?)ような感覚を持たれたかもしれませんが、最後まで読んでいただければタイトルの意味もご理解いただけるでしょう。

 

さて、まずは前回の「音の連続だけで読める語」の復習をしましょう。単なる復習ではありません。今回の内容をよりよく理解するための"前哨戦"ですので、しっかり取り組んでください。

 

では、さっそく次の語を読んで見ましょう。そのときに、太字の母音の発音に注意して読んでみてください。

 

① bat   fat   hat   mat   rat   sat

② jet  let  met  net  pet  set  

③ bit   hit   fit   kit   sit   skit

④ cop   hop   pop   top   stop   mop

⑤ jump   dump   pump   slump

 

上記の①~⑤の単語の場合、特に①の a、②の e、③の i、④の o、⑤の u の発音が「音読み」であることがわかりますね。つまり、母音も含めてすべて各文字が持つ「音」だけで読める語というわけです。

 

次に、次の⑥~⑩の組み合わせの語をそれぞれ左右の語を対照させるように読んでみましょう。そのときに、太字の母音の発音に注意して読んでみてください。

 

⑥ mad - made hat - hate 

⑦ pet - Pete

⑧ pin - pine rid -ride  

⑨ hop- hope rod - rode

⑩ cut - cute tub - tube                 

 

さて、改めて各組の単語の発音を比べてみると、ある一定のパターンがあることがわかると思います。それは何でしょう?

 

そうですね。それは「左側の語は真ん中の母音字が『音読み』であるが、右側の語はすべて真ん中の母音字が『名前読み』になっている」ということです。すなわち、a は「エイ」、e は「イー」、i は「アイ」、o は「オウ」、u は「ユー」と発音しています。

 

さらに、つづりを見ると、ここにもある共通点があります。それは何でしょうか?

 

そうですね。右側の語はすべて最後に「e」が加わっています。このちがいだけで、その前にある母音字の発音が名前読みになります。つまり、語尾の e はその前にある子音字のその前にある母音を「名前読み」にする効果があるということです。

 

以上のことから、この e は「マジック e」(魔法の e)と呼ばれています。また、気づいていると思いますが、この e 自体は発音しないので、「サイレント e」(静かな e)とも呼ばれます。

 

上記にはありませんが、make という語が「マケ」ではなく「メイク」と読まれるのは、英語に通じている人はみなこの「マジック e」の存在に気づいて、その前にある母音字を名前読みすると判断しているからです。

 

make の場合はすでに多くの人がこの単語を知っているので読めると思いますが、このルールを知っていれば、たとえそれが初めて出会った単語であっても読めるのです。例えば、次の単語を読んでみてください。

 

⑥' bake, cake, date, fame, game, late, race, same, tale, wake

⑦' cede, gene, peke, Zeke

⑧' bike, cite, dime, fine, hike, kite, line, mike, nine, pipe, site, vine, wine

⑨' alone, bone, cone, dome, gone, hole, joke, note, sole, tone, zone

⑩' excuse, fuse, huge, juke, Luke, muse, nuke, pule, ruse, tune

 

いずれもマジック e のおかげで、太字の母音字が「名前読み」になっていますね。

 

これでかなり読める語が増えました。なお、アルファベット・チャンツ26語の中で読めるようになった語は次のものです。

 

・notebook の note- の部分

 

つまり、K1とK2で読めるようになった語は…

 

apple, bagcupdesk, egg, fish, girl, handinkjet, king, lion, moon, notebook, octopus, picture, queen, rabbit, star, telephone, umbrella, violin, window, box, yellow, zebra 

 

<追加記事>

ところで、その文字よりも前にある母音字を「名前読み」にさせる力があるのは e だけではありません。次のような例があります。

 

○ -a

・dat(データ), thet(シータ), zebra, tuna(トゥーナ)  ※「ア」は弱くて短い音。

○ -o

・potato, tomato, depot (ディーポウ、=deposit), lemo (リーモウ、=limousine)

 

また、間に子音字がなく母音が連続している場合でも前にある母音を「名前読み」させることができます。

 

○ -a

・「アイ」… via,  Messiah,  ※「ア」は弱くて短い音。

○ -o

・「イー/アイオウ」… Leobi(=biology), diode, Io

・「アイ」… lion, violin ※「オ」は弱くて短い音。

  

上記の単語では、いずれも赤字の母音字のおかげでその前にある黒太字の母音が名前読みになっています。なお、※印の母音は弱く短く発音されます。これについては「K8. 弱いライオン(弱く、短く、てきとう~な音)」で改めて説明します。

 

以上のことから、アルファベット・チャンツ26語の中で読めるようになった語は次のものです。

 

・lion, violin, zebra

 

つまり、最終的にK1とK2で読めるようになった語は…

 

apple, bagcupdesk, egg, fish, girl, handinkjet, king, lion, moon, notebook, octopus, picture, queen, rabbit, star, telephone, umbrella, violin, window, box, yellow, zebra  

 

では、次回もお楽しみに!

 

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