車の思い出⑥:ホンダ オデッセイ 2300L(ODDESSAY L)

「車の思い出」シリーズ第5弾は、1990年代から2000年代にかけて“ミニバン”ブームの火付け役となりそれを牽引したホンダ オデッセイです。今回紹介するモデルは、その中でも最もヒットした2代目モデルの2300Lです。そして、筆者自身で買ったものとしては初めての新車でした。 

  

【モデル概要】

オデッセイは、ホンダが提唱した「クリエイティブ・ムーバー」の第1弾として1994年に初代が発売されました。アコードのシャーシを利用した低くスポーティーなボディーでありながら6(7)人乗りという、ワンボックスカーとセダンの良さを併せ持つモデルとして大ヒットしました。モデル構成は当初こそ2200ccのエンジンのみで装備に差を付けたB、S、Lのみでしたが、マイナーチェンジで2300ccのM、S、Lに、さらに3000ccの「プレステージ」VG、VZが加わって、人気に見合った多彩な構成になりました。

 

1999年に発売された2代目(写真)は、初代のキープ・コンセプトとしながらスタイルがさらに洗練され、足回りの強化や内装の高級化が図られたモデルへと成長しました。そして、2001年7月にはそれまで月間販売台数で長年トップにあったトヨタ カローラを抜き去るという快挙をなしとげました。

 

しかし、2003年に登場した3代目でさらに車高を低くしたことで人気が低迷しはじめ、それは2008年の4代目でも変わりませんでした。時代はすでによりスポーティーなSUVの時代に移行しつつあり、ミニバンの役目は終わりかけていたからでしょう。そこでホンダは2013年に発売した5代目にして初めてオデッセイーをより大型のスライド・ドア仕様にしたりハイブリッド仕様を追加したりしましたが人気回復には至らず、2021年に生産が中止されました。

 

ところが、オデッセイの復活を求める声が一部で依然として高かったことから、2023年に中国で生産されている5代目モデルを逆輸入するという形で販売が再開されました。

初代オデッセイ

2代目オデッセイ プレステージ(3000cc)

※前後バンパーにメッキパーツ、前後ドアのへこみ部分に付いているモールなどで2300ccとの区別ができた。

 


【購入エピソード】

前車のホンダ プレリュードが子育てには不便であったことで妻が気軽に乗れる日産 マーチも並行所有していましたが、やはり車を2代も所有する余裕はなかったので、これら2台を1台に集約したファミリー・カーを購入することになりました。

 

それまで2台続けてホンダ車に乗ってきたこと、そのときの筆者の自宅がホンダの”工場城下町”にあったことから近所にホンダ関係者が多かったこと、そして何より2代目のオデッセイが気に入っていたことから、次の車はこれだと決めていました。

 

購入にあたっては、カタログやオデッセイを紹介するムック本などで情報を集め、色は白、シートは7人乗り、グレードは標準の装備が充実している2300Lとし、それにシティにもプレリュードにもあったサンルーフをオプションで付けることにしました。他にも、メーカー・オプションのカーナビを付けたり、ヘッドライトをハロゲンからディスチャージ式にしたり、ボディー横上部のラインに沿ったピン・ストライプとサンバイザーを追加したりしました。上の写真はネットで入手したものですが、ちょうどこれの屋根にサンルーフ、ボディー横上部にあるへこんだアクセント・ラインの上に細いピンストライブが加えられたものを想像していただけると実際に購入した車とほぼ同じスタイルになります。

 

【ドライブ・エピソード】

この車には、13年間で68,000kmほど乗りました。年数の割に走行距離が少ないのは、通勤に使っていなかったからです。したがって、廃車にするまでにはタイヤとバッテリーを各2回交換した以外の修理代はかかりませんでした(こすり傷の修繕を除く)。

 

この車は2人の子供を育てていた時代と重なるので、近場から中距離の場所までいろいろなところへ出かけました。一番思い出に残っているのは最初の中距離ドライブで、地元埼玉から福島県会津地方へ出かけ、そこから新潟県に抜けて帰ってくるという日帰りの強行ツアーをしたことです。往路以外は一般道を走ったので、見知らぬ土地の狭い抜け道などを地図とカーナビを頼りに走っていると、途中でいろいろな野生動物(サル、シカなど)で出会ったり、真っ暗な山道でカーナビが受信しなくなったりして、今でも妻とあのときはわくわく・ドキドキだったと語り草になっています。

 

【長所・短所】

長所は、室内の広さと高級な内装でした。広さに関しては、3列目のシートを倒せば荷物がいっぱい積むことができ、2列目まで倒してフラットにすればそこで家族4人で昼寝ができるほどでした。内装に関しては、乗り込んだ瞬間から応接間に入ったような感覚を覚え、モケットシートの優しい色とやわらかな肌合いに癒やされる気分でした。もちろん、オプションで付けた電動サンルーフは開放感を演出してくれましたし、ディスチャージ・ヘッドライトはハロゲンよりさらに明るく夜道を照らしてくれました。エアコンは後部座席天井にも独立した吹き出し口があり、前後両方をつければ後席の人もすぐに涼しくなるという利点がありました。

 

短所は、大柄な車体ゆえの加速力不足でした。エンジンは2300ccとけっして小さいものではありませんが、スタート時や追い越し時に力不足を感じることがしばしばでした。また、長所で述べた高級な内装は、ロードノイズの軽減にはあまり働いていないようでした。直前に短期間乗っていた亡き義父のトヨタ マークⅡ、試乗したトヨタ ノアと比べると明らかに床下から聞こえてくる音が大きかったと記憶しています。メーカー・オプションのカーナビは旧タイプのCD式で、当時すでに出ていたDVD式やハードディスク式に比べて明らかに情報量が少なかったのが不満でした。

 

燃費はチョイ乗りで6~8km/l、長距離ドライブで10~12km/l と、この車格のものとしては平均的だと思うのですが、やはりどんどん減ってしまうメーターと一度に1万円近くが飛ぶガソリン代(ガソリン・タンクは60リットル)は懐に優しいものではありませんでした。  

2代目2300Lのインパネ

2代目2300Lの7人乗りシート

 

※落ち着いた色のモケット地が高級感を醸し出していた


 

【お別れ】

2001年から13年間乗ったこの車も、2人の子供たちがその間に大きくなったので、そろそろ買い換えの時期かなと考え始めました。そして、2013年12月に次に紹介するホンダ ヴェゼルが発売されたところで、すぐにそちらに乗り換えることにしました。そして、2014年6月にこの車とお別れしました。この車を購入したお店にヴェゼルの下取りとして出したので、ヴェゼルの納車日にお店で2台を並べて写真を撮ったのが最後になりました(写真は行方不明)。(4/20/2024)

 

運転する筆者

長野の山荘で

群馬の榛名山で